四十肩・五十肩(肩関節周囲炎)とは
「肩が上がらない」「後ろに手が回らない」「服の脱ぎ着がつらい」。中年以降によく見られるこのような症状は、いわゆる四十肩・五十肩(肩関節周囲炎)かもしれません。
肩関節周囲炎は、肩の関節に炎症が起こり、痛みと動かしにくさが出る病気の総称です。五十肩はその中で最も多いタイプで、「凍結肩」「癒着性関節包炎」と呼ばれることもあります。主に中年以降に起こり、糖尿病や甲状腺の病気、喫煙などがリスク因子とされています。人口の 2〜5%に見られるとされ、珍しい病気ではありません。
症状は時期によって変わります。
| 時期 | 期間の目安 | 主な症状 |
|---|---|---|
| 炎症期(急性期) | 2〜9 か月 | 強い痛み、夜の痛み、じっとしていても痛む、動かすと強く痛む |
| 拘縮期(慢性期) | 4〜12 か月 | 痛みはやや軽くなるが、動かしにくさが目立つ |
| 回復期 | 5〜24 か月 | 動きが少しずつ戻り、痛みも軽くなる |
自然に治っていくことが多い病気ですが、2 年以上続くこともあり、約半数の方に動かしにくさや軽い痛みが残るという報告もあります。
こんな時は受診を
- 肩が上がらない、後ろに手が回らない
- 洗髪、服の脱ぎ着、背中をかく動作がつらい
- 夜、肩の痛みで目が覚める
- 「いつか治るだろう」と様子を見ているが、なかなか良くならない
当院で行う検査
問診と診察で、肩を押した時の痛みや、肩の動く範囲を確かめます。ほかの病気(腱板断裂、石灰性腱炎、変形性関節症など)でないかを見分けることが大切です。
- レントゲン検査: 関節の変形や石灰の沈着の有無を確かめます
- 超音波検査(エコー): 腱板断裂や滑液包炎などを、その場で確かめます
- MRI 検査: 必要に応じて、連携する医療機関をご紹介します
腱板損傷との違い
肩の痛みと動かしにくさは、肩の腱(腱板)が傷ついたり切れたりする腱板損傷(腱板断裂)でも起こります。症状が似ているため、当院では超音波検査などで腱の状態を確かめ、四十肩・五十肩と見分けます。
治療
手術をしない治療(保存療法)が基本です。時期に合わせて治療を選びます。
- 炎症期: 痛み止めの内服や湿布、肩の関節への注射(ステロイドやヒアルロン酸)を行います。無理に肩を動かさず、必要に応じて三角巾も使います。寝る時は肩の下にクッションを入れるなど、夜の痛みを和らげる姿勢もお伝えします。痛みが落ち着いて動かせるようになってきたら、早めに運動療法を始めることが大切です
- 拘縮期: 理学療法士の指導で、振り子運動などの軽いストレッチ、関節の動きを取り戻す運動、肩甲骨のまわりの筋力トレーニングを行います。温める治療で筋肉のこわばりを和らげます
- 回復期: 積極的なリハビリで関節の働きを取り戻し、生活や仕事に合わせて再発を防ぐための運動習慣をご提案します
この病気を診る医師
整形外科の医師が診療します。当院には日本整形外科学会 整形外科専門医が在籍しています。
よくある質問
Q. 放っておけば治りますか?
A. 自然に治っていくことが多い病気ですが、2 年以上続くことや、約半数の方に動かしにくさや軽い痛みが残るという報告もあります。時期に合わせた治療とリハビリをおすすめします。
Q. 痛い時は動かさない方がよいですか?
A. 痛みの強い時期は無理に動かさないようにします。痛みが落ち着いて動かせるようになってきたら、早めに運動療法を始めることが大切です。
Q. 注射はどんな時に行いますか?
A. 痛みの強い時期に、肩の関節へステロイドやヒアルロン酸を注射することがあります。
Q. 糖尿病があると関係しますか?
A. 糖尿病や甲状腺の病気は、四十肩・五十肩のリスク因子とされています。当院では内科でも診療しています。