執筆:上妻 嵩英(池尻大橋せらクリニック 医師)
私は糖尿病専門医・内分泌代謝科専門医として、日々、体重管理や糖尿病、生活習慣病の診療をしています。
一方で、自分自身もメンズフィジークに出場した経験があり、大会に向けて体をかなり絞る減量を行いました。
ただ、最初に正直にお伝えしたいのは、限界近くまで絞る減量は、健康のための一般的なダイエットとは別物だということです。医学的にみれば、そのままおすすめできる方法ではありません。
それでも、その過程で得た学びはとても大きく、「ダイエットで本当に大切なこと」はむしろその経験からよく見えたと感じています。
今回は、医師としての知識だけでなく、実際に自分の体で減量を経験した立場から、患者さんにも役立つと感じたことをお伝えします。
体重を減らす主役は、やはり食事だった
減量をやってみて最も強く実感したのは、体重が減るかどうかは、やはり食事の影響が大きいということでした。
筋トレはかなり頑張っていましたし、運動量も少なくありませんでした。それでも、体の変化を決めるのは、結局のところ毎日の食事でした。
「運動しているから大丈夫」と思いたくなるのですが、実際にはそう単純ではありません。体重を落とす土台になるのは、やはり食事です。
これは診療でも感じます。ダイエットがうまくいかないとき、まず見直すべきなのは特別な運動よりも、間食、甘い飲み物、外食、夜遅い食事など、日々の食習慣であることが多いのです。
ただ食べる量を減らすだけでは、筋肉も減る
一方で、減量を進める中で強く感じたのは、食事だけを減らせばいいわけではないということでした。
筋トレをしていても、減量中は筋肉が減ります。これは実際に体つきの変化やトレーニングの感覚の中でも感じました。つまり、体は脂肪だけでなく、筋肉も一緒に削ろうとします。
だからこそ、ただ体重計の数字だけを追いかけるダイエットは危険です。数字は減っても、筋肉まで落ちてしまえば、見た目は思ったほど引き締まらず、疲れやすくなり、リバウンドもしやすくなります。
ダイエットで本当に目指したいのは、体重を減らすことそのものではなく、脂肪を減らしながら筋肉をなるべく守ることだと、身をもって感じました。
停滞期は必ずくる。そして、そこで焦ると行き詰まりやすい
減量でつらかったことの一つが、停滞期です。最初は順調に落ちていても、途中から急に体重が動きにくくなる。これは何度も経験しました。
「同じようにやっているのに、なぜ落ちないのか」と感じる時期は、思っている以上に精神的につらいものです。
基礎代謝量を測定したわけではないので断定はできませんが、体感としては、減量が進むにつれて代謝が落ちていくような感覚がありました。体が省エネになっていくような感じです。
だからといって、そのたびにさらにカロリーを削るだけでは、だんだん苦しくなっていきます。疲労がたまり、トレーニングの質も落ち、気持ちにも余裕がなくなります。
停滞したときに大事なのは、すぐに極端な手を打たないことでした。
少し休む、あわてずに経過を見る、カロリーは大きく変えずに三大栄養素の比率を見直す、食材を変える。そうした調整のほうが、結果的にうまくいくことがありました。
また、疲労の管理や排便のコントロールも非常に重要でした。体重は脂肪だけでなく、水分や便通の影響でも動きます。数日単位で一喜一憂しすぎないことの大切さも、減量中に何度も学びました。
診療の中では、一般のダイエットで停滞している方の場合、実際には知らないうちに摂取カロリーが増えていることも少なくありません。
そのため停滞期には、焦って削る前に、食事内容、間食、飲み物、活動量、睡眠、疲労、便通を一度整理してみることが大切だと思います。
ダイエットは短距離走ではなく、長距離走だった
減量を経験してはっきり思ったのは、ダイエットは短期間の勝負ではなく、長距離走のようなものだということです。
勢いで一気に削ることはできても、それだけでは続きません。続かなければ、結局は元に戻りやすくなります。
毎日強い我慢を重ねる方法は、確かに短期的には結果が出ることがあります。けれど、日常生活の中で長く続けるには無理が出やすい。
むしろ、甘い飲み物を減らす、夜遅い食事を控える、外食の選び方を変える、筋トレや歩行を習慣にする、といった地道な工夫のほうが、最終的には強いと感じます。
正直に言うと、私はかなりリバウンドした
ここまでいろいろ書いてきましたが、正直に言えば、私はかなりリバウンドしました。
極限まで絞る減量だったので、ある意味では当然ともいえますが、それでも「減らすこと」と「維持すること」は全く別だと痛感しました。
この経験があるからこそ、今は患者さんにも「痩せること」だけでなく、痩せたあとをどう過ごすかが大切だとお伝えしています。
目標体重に達したあとに元の生活へ一気に戻せば、体重は戻りやすくなります。体重測定を続けること、運動習慣をやめないこと、少し増えた段階で早めに立て直すこと。こうした“維持の工夫”がとても重要です。
そして、目標設定も大切です。
大会のように極限まで絞ることではなく、無理なく維持できる体重、健診の数値が改善する体重を目指すほうが、医学的にも現実的にも価値があります。
池尻大橋でダイエットや体重管理を相談したい方へ
自己流のダイエットで停滞している方、リバウンドを繰り返している方、健康診断で血糖値やHbA1c、脂質、肝機能異常を指摘された方は、体重だけでなく、血糖や生活習慣も含めて見直すことが大切です。
池尻大橋せらクリニックでは、糖尿病や生活習慣病の診療を通じて、食事・運動・体重管理を含めたご相談に対応しています。
「とにかく痩せる」ことを目指すのではなく、健康的に続けられる形で整えていくことが、結果として体型にも検査値にもつながります。
summary
自分で減量を経験してみて、ダイエットで大切なことはとてもシンプルだと感じました。
体重を減らす主役は食事。
ただし、食事だけを減らすのはよくない。
停滞期はくる。だから、焦ってさらに削る前に整える。
ダイエットは短距離走ではなく、長距離走。
そして本当に大切なのは、減らしたあとも維持できること。
私自身、減量も停滞もリバウンドも経験したからこそ、無理な方法ほど続かないことを実感しています。
体重が気になる方、健診異常を指摘された方、自己流ダイエットに限界を感じている方は、一人で抱え込まず、医療的な視点も取り入れてみてください。
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