はじめに
健康診断や血液検査で「TSHが高い」と言われ、不安に感じる方は少なくありません。
TSHは甲状腺の働きを調べるための重要な検査ですが、TSHだけでは甲状腺の状態を正確に判断できません。甲状腺ホルモンの値とあわせて確認することが大切です。
甲状腺ホルモンとTSHの仕組み
甲状腺は首の前側にある小さな臓器で、体の代謝を調整する甲状腺ホルモンを作っています。
甲状腺ホルモンは、体温や脈拍、エネルギー消費、胃腸の働きなど、全身のさまざまな機能に関わっています。
血液検査では主に次の項目を確認します。
- FT4:甲状腺から分泌される主要な甲状腺ホルモン
- FT3:体内でより強く作用する甲状腺ホルモン
- TSH:脳の下垂体から分泌され、甲状腺にホルモンを作るよう指令を出すホルモン
甲状腺ホルモンが不足すると、体はそれを補おうとしてTSHを多く分泌します。反対に、甲状腺ホルモンが多くなるとTSHは低くなります。
そのため、TSHが高い場合、多くは甲状腺ホルモンが不足している、または不足し始めているサインと考えます。
ただし、TSHが少し高いだけで、すぐに治療が必要とは限りません。FT4などの甲状腺ホルモンの値とあわせて判断します。
TSHが高くなる主な原因
橋本病
TSHが高くなる代表的な原因が橋本病(慢性甲状腺炎)です。
免疫の影響によって甲状腺に慢性的な炎症が起こり、徐々に甲状腺ホルモンを作る力が低下することがあります。
必要に応じて、甲状腺自己抗体の採血や甲状腺エコーなどを行います。
ヨウ素の摂りすぎ
ヨウ素は甲状腺ホルモンの材料ですが、摂りすぎるとかえって甲状腺の働きが低下することがあります。
特に昆布や昆布だし、昆布茶などを日常的に多く摂取している場合には、確認が必要です。
薬剤の影響
一部の薬剤によって甲状腺機能が低下し、TSHが高くなることがあります。
服用している薬やサプリメントがある場合には、診察時に医師へお伝えください。
一時的に高くなることもあります
甲状腺の炎症や体調不良のあとなどに、一時的にTSHが高くなることがあります。
また、TSHは高いもののFT4が正常な状態を「潜在性甲状腺機能低下症」と呼びます。軽度の場合にはすぐに治療せず、再検査で経過をみることもあります。
まれに甲状腺以外が原因となることも
TSHが高い場合の多くは甲状腺そのものの働きに関係していますが、まれにTSHを分泌する下垂体などが関係していることもあります。
特にTSHとFT4などの甲状腺ホルモンの値の組み合わせが通常と異なる場合には、専門的な評価が必要になることがあります。
甲状腺機能が低下するとどんな症状が出る?
甲状腺ホルモンが不足すると、
- 疲れやすい、だるい
- 寒がり
- むくみ
- 体重が増える
- 便秘
- 眠気
- 皮膚の乾燥
などの症状がみられることがあります。
ただし、軽度の場合には自覚症状がほとんどないことも珍しくありません。
TSHが高いと言われたら
TSH高値を指摘された場合には、TSHだけではなくFT4などの甲状腺ホルモンをあわせて確認することが重要です。
必要に応じて、
- 甲状腺ホルモンの再検査
- 橋本病などを調べる自己抗体検査
- 甲状腺エコー
- 食事や薬剤の確認
などを行い、治療が必要なのか、経過観察でよいのかを判断します。
特に、TSHが大きく上昇している場合、FT4が低下している場合、症状がある場合、妊娠中・妊娠を希望している場合には、一度専門医に相談することをおすすめします。
池尻大橋せらクリニックの甲状腺内分泌内科では、TSH高値をはじめとした甲状腺機能異常の検査・診療を行っています。
健康診断などで「TSHが高いと言われた」「甲状腺の数値について詳しく調べたい」という方は、お気軽にご相談ください。
まとめ
TSHが高い場合、多くは甲状腺の働きが低下している可能性を示しています。
代表的な原因には、橋本病、ヨウ素の摂りすぎ、薬剤の影響、一時的な変化などがあります。また、まれに下垂体など甲状腺以外の原因が関係することもあります。
TSHだけでは判断できないため、FT4などの甲状腺ホルモンとあわせて確認し、必要に応じて詳しい検査を行うことが大切です。
