はじめに
2025年、日本高血圧学会(JSH)は「ガイドライン2025」を発表し、高血圧管理のあり方が大きく進化しました。背景にあるのは、患者さんがより早く、より安心、安全に治療へ進めるようにするためです。今回は、ガイドライン2025が描く「血圧の目標設定」「測定方法」「生活習慣との両立」など、特に患者さんが理解しておくべき5つのポイントをやさしくまとめました。
① 血圧の目標は「すべての方で130/80mmHg未満」に統一
新版では、年齢や合併症にかかわらず、一律で診療室血圧130/80 mmHg未満を推奨しています (tsunekawa-heart.com, Nature)。
この目標は、心血管イベントの発症リスクを軽減するという強いエビデンスに基づいています。また、家庭での血圧(Home BP)では、125/75 mmHg未満を目指すことが望ましいとされています 。
② 家庭血圧の測定がより重要に
ガイドライン2025では、従来以上に「家庭血圧(朝晩の測定)」を重視しています。これは、病院での測定には「白衣高血圧」や「マスク高血圧」が影響しやすく、家庭での測定がより日常の実態に即しているためです (tsunekawa-heart.com)。
家庭での記録を通じて、医師とより具体的な話ができるようになります。
③ 心血管リスク評価が精緻に進化
JSH2025では、血圧だけでなく、「年齢・性別・糖尿病・腎機能・喫煙歴など」を加味した層別心血管リスク評価が推奨されています (Nature)。
リスクの高い方には、より積極的な治療開始が提案されることで、安全かつ最適な対応が可能になります。
④ 生活習慣改善(減塩・運動など)と薬治療の段階的融合
ガイドライン2025は、まず減塩・運動・体重管理・禁煙などの生活習慣改善を重視。その上で3〜6か月の経過を見て目標に至らなければ、早期に薬を併用する方針へと明確化されました (tsunekawa-heart.com)。
また、高齢者や合併症のある方などには、個別的にリスクとメリットを評価したうえで治療の調整が必要とされています (tsunekawa-heart.com)。
⑤ デジタル技術・行動支援の活用強化
ガイドラインでは、尿中のナトリウム/カリウム比の評価や、スマートフォンアプリ・家庭血圧記録機器を使った血圧管理など、患者さんの行動変容を支えるツールの活用が広く推奨されています (tsunekawa-heart.com)。
日々の記録が「意味あるデータ」に変わり、検査や治療の精度が向上します。
実際にクリニックでどう実践されているか?
東京都目黒区のIkejiri-Ohashi Sera Clinicでは、ガイドライン2025に基づいた高血圧管理を以下のように推進しています:
- 家庭血圧測定のサポート:正しい測定方法を丁寧に指導し、記録表の提供も行います。
- リスク評価パーソナライズ:層別リスクに応じて治療方針を個別に設計。生活習慣重視から薬の選択まで議論します。
- 継続支援体制:定期的なフォローと、家庭血圧のデータを活かした診療を通じて継続性を高めます。
- IT活用と生活習慣サポート:血圧管理アプリへのアドバイス、尿中指標の活用、生活習慣の継続支援なども積極的に提供しています。
まとめ表:ガイドライン2025の要点
ポイント | 内容 |
1. 目標血圧 | 診療室:130/80 mmHg未満、家庭:125/75 mmHg未満 |
2. 測定方法 | 家庭血圧測定を重視し、日常の血圧把握 |
3. リスク評価 | 年齢・生活習慣等を統合して個別治療へ |
4. 治療の段階性 | 生活改善 → 必要時に薬物治療を開始 |
5. デジタルと行動支援 | アプリ・尿指標・継続支援で管理精度向上 |
参考文献