〜高齢者に多い背骨の骨折と、その原因・治療・予防について〜
「重いものを持ったときから腰が痛い」「思い当たる外傷がないのに背中が痛む」――
このような症状がある方は、圧迫骨折(あっぱくこっせつ)の可能性があります。
圧迫骨折は、特に高齢者や骨粗鬆症のある方に多く見られる背骨の骨折です。早期に発見・治療することで、痛みの軽減や骨の変形・寝たきりの予防につながります。
今回は、圧迫骨折の原因、症状、検査、治療、そして骨粗鬆症との関係についてご紹介します。
【圧迫骨折とは】
圧迫骨折は、背骨(脊椎)の椎体が押しつぶされるように変形してしまう骨折です。
原因として最も多いのがosteoporosisで、軽い転倒や重いものを持ち上げた程度の負荷でも骨折することがあります。
日本では、年間約100万例の圧迫骨折が発生していると推定されており、80歳以上では約43%が圧迫骨折を経験しているといわれています。
また、がんの骨転移などが原因となるケースもあり、注意が必要です。
【主な症状】
- 背中や腰の強い痛み
- 動作時や立ち上がりでの痛みの増悪
- 痛みで起き上がれない、歩けない
- 脊髄や神経の圧迫による足のしびれや脱力感(まれ)
- 自覚のない骨折も多く、気づかないうちに背中が曲がる・身長が縮む
猫背(円背)が進行すると、呼吸が浅くなったり、胃の圧迫で逆流性食道炎や貧血が起こるリスクもあるため、早めの評価と対応が大切です。
【検査】
当クリニックでは以下の検査を行い、圧迫骨折の有無を評価します。
■ レントゲン検査
- 背骨のつぶれ(椎体の楔形変形)が見られるかを確認
- ただし、受傷直後にはレントゲンで骨折がはっきり見えないことも多く(初期検出率10%程度)、症状が典型的な場合は骨折を前提に治療を開始することもあります
■ CT検査/MRI検査(必要に応じて他院にご紹介)
- CT:より詳細な骨の形状確認
- MRI:骨折の新旧の判断や、神経圧迫の有無を確認
【治療】
圧迫骨折の治療は保存療法(手術以外の治療)が基本です。
■ 保存療法
- 鎮痛薬の内服・外用で痛みをコントロール
- コルセット作成で背骨を安定させ、骨の癒合を助ける
- 急性期(数日〜数週間)は安静を保ちつつ、徐々に日常動作へ復帰
- 通常、3〜6ヶ月で自然な骨癒合が得られます
ただし、以下のような場合には手術が検討されます:
- 痛みが強く長期間改善しない
- 明らかな神経症状(足のしびれ・脱力・麻痺など)
- 尿や便のコントロールができなくなったとき
【骨粗鬆症の管理が重要】
圧迫骨折の背景には、骨粗鬆症の存在がほぼ必ずあります。
骨粗鬆症とは、骨が脆くなり骨折しやすくなる病気で、日本における推定患者数は約1300万人といわれています。
■ 骨粗鬆症の治療
- medical diet:カルシウム、ビタミンD、ビタミンKを意識した食生活
→ 例:牛乳、魚、キノコ、納豆、緑黄色野菜など - therapeutic exercise:歩行や軽い筋トレで骨に適度な刺激を与える
- 薬物療法:
→ 骨密度低下が明らかな場合や、すでに骨折がある場合は、内服薬や注射薬を用いて骨密度を改善していきます
当クリニックでは骨密度の測定(DEXA法)や血液検査を通じて骨代謝の評価も実施し、最適な治療方針をご提案します。
*骨粗鬆症についてはこちら
【転倒予防も忘れずに】
圧迫骨折の多くは転倒が引き金です。骨密度を保つだけでなく、転ばない生活環境を整えることも治療の一環です。
■ 転倒予防のポイント
- 散歩や体操で下肢の筋力維持・バランス力の強化
- 室内では床に物を置かない、スリッパを避ける、照明を明るく保つ
- 白内障などの視力低下がある場合は眼科受診を推奨
- めまいやふらつきがある場合は、かかりつけ医に相談し原因を評価・治療
【池尻大橋せらクリニックで行える検査・治療】
当クリニックでは、以下のような対応を行っております:
■ 検査
- レントゲン検査による椎体圧迫の有無の評価
- 必要に応じて骨粗鬆症の検査(DEXA法・血液検査)
■ 治療
- 鎮痛薬の処方・コルセットの作成
- 骨粗鬆症の評価と治療(内服・注射薬含む)
- 必要に応じて手術対応が可能な病院への紹介
- 転倒予防・生活指導・運動療法のアドバイス
患者様一人ひとりの状態に合わせた個別の治療計画と丁寧なフォローアップを行っています。
【まとめ】
圧迫骨折は、放置すると慢性的な痛みや背骨の変形、生活機能の低下につながる疾患です。
しかし、早期に発見して適切に治療を行えば、回復と再発予防は十分に可能です。
背中や腰の痛み、身長の低下、猫背が気になる方は、一度、圧迫骨折と骨粗鬆症の評価を受けてみてください。
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