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糖尿病神経障害とは?初期症状から予防・治療まで

糖尿病は血糖値が慢性的に高くなる病気です。その影響は全身に及びますが、特に神経にダメージを与えることで「糖尿病神経障害」を引き起こすことがあります。
神経障害は糖尿病の三大合併症のひとつであり、進行すると日常生活に大きな支障をきたします。早期発見と予防が何より重要です。

糖尿病神経障害とは?

血糖値が高い状態が続くと、血管の内皮や神経そのものが障害されます。神経は酸素や栄養を血管から受け取っていますが、高血糖によって血流が悪化し、神経が機能不全を起こします。
特に影響を受けやすいのが末梢神経(手足に分布する神経)で、感覚や運動の異常が起こります。

主な症状

糖尿病神経障害は、障害される神経の種類によって症状が異なります。

1. 末梢神経障害(感覚・運動)

  • 足先や手先のしびれ
  • チクチクする痛みや灼熱感
  • 感覚が鈍くなる(けがや火傷に気づきにくい)
  • 足の筋力低下や歩行障害

2. 自律神経障害

  • 立ちくらみ(起立性低血圧)
  • 発汗異常(汗が出にくい・止まらない)
  • 消化不良、便秘・下痢の繰り返し(糖尿病性胃腸障害)
  • 勃起障害(ED)
  • 膀胱機能障害(残尿感、尿漏れ)

3. 局所性神経障害

  • 顔面神経麻痺
  • 手首や肘の神経圧迫によるしびれ(手根管症候群など)

なぜ怖いのか?

糖尿病神経障害の怖い点は、症状がないまま進行することです。
例えば足の感覚が鈍くなると、小さな靴ずれややけどに気づかず放置し、感染や潰瘍を起こします。これが「糖尿病足病変」に進行し、最悪の場合は足の切断に至ることもあります。

また、自律神経障害による低血糖無自覚症は、命に関わる危険もあります。

発症のリスク因子

これらはすべて血管の動脈硬化を促進し、神経への血流障害を悪化させます。

診断方法

糖尿病神経障害は症状だけでなく、検査によって診断します。

  • 触覚検査(モノフィラメント法):足底の感覚をチェック
  • 振動覚検査:音叉で足や手の振動感覚を評価
  • 神経伝導速度検査:電気刺激で神経の伝達速度を測定
  • 自律神経機能検査:血圧変動や心拍変動の測定

予防と治療

1. 血糖コントロール

神経障害の最大の予防・治療法は、血糖値を安定させることです。
HbA1cの改善によって進行を遅らせることができます。

2. 運動療法

有酸素運動と筋トレは、血流改善とインスリン感受性向上に有効です。
当院では、医療スタッフが一人ひとりに合った運動プログラムを提案し、安全に取り組める環境を整えています。

3. 足のケア

  • 毎日足の皮膚や爪をチェック
  • 清潔を保ち、乾燥を防ぐ
  • 靴は足に合ったものを選ぶ

4. 症状への対症療法

  • 神経痛に対する薬(プレガバリン、デュロキセチンなど)
  • 自律神経障害への薬物療法や生活指導

池尻大橋せらクリニックの特徴

  • 糖尿病専門医による診療:症状や生活状況に応じた最適な治療を提案
  • 総合的な検査体制:血液・尿検査、神経機能検査、血流評価を院内で実施
  • 運動療法の実践支援:医療従事者監修の安全なトレーニング
  • 眼底検査機器の完備:網膜症を含め、糖尿病合併症を一度にチェック可能

まとめ

糖尿病神経障害は、生活の質を大きく低下させるだけでなく、足の切断や命に関わる合併症にもつながります。
しかし、定期的な検査と生活習慣改善で予防・進行抑制が可能です。

しびれや感覚の異常、立ちくらみなどが気になったら、早めに受診してください。
当院では、総合的な検査体制で、合併症の早期発見・予防に取り組んでいます。

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