はじめに
高血圧は日本における重大な生活習慣病の一つであり、多くの方が自覚症状がないまま進行してしまう「沈黙の病気」です。しかし、その被害は血管や心臓だけに留まらず、脳や腎臓、さらには認知機能にまで影響を及ぼします。今回は、まずは高血圧の症状・原因・放置した際の影響を整理し、最後には実際にクリニックでどのように対策されているかを具体的にご案内します。
1. 高血圧ってどんな症状があるの?
残念ながら、高血圧には初期段階での明確な自覚症状はほとんどありません。せいぜい軽い頭痛やめまい、耳鳴りなどの「なんとなく」の違和感で、症状と言えるほどではないことがほとんどです。そのため「最近、ちょっと血圧が高いって言われたけど、特に症状もないし」と放置してしまう方が少なくありません。
しかしその先に起こるのが、「脳卒中(脳出血・脳梗塞)」「心筋梗塞」「慢性腎臓病」「心不全」「認知症」といった重篤な疾患です。例えば収縮期血圧が10 mm Hg上がるごとに、脳卒中のリスクが約1.4倍、心筋梗塞のリスクは約1.3倍になるというデータがあります(高血圧管理ガイドライン2025 に基づく示唆)(Statesman)。
2. 高血圧、なぜ起こるの?その原因とは
原発性(本態性)高血圧
最も多く、原因が特定できない場合がこれに該当します。原因は以下のように複合的です:
- 遺伝的背景
- 食塩過剰摂取(腎臓での水分保持が進む)
- 過度の飲酒:血圧上昇の一因に
- 肥満と内臓脂肪:交感神経やRAAS(レニン-アンジオテンシン系)を刺激し、血圧を上昇させる
続発性高血圧
他の病気が原因となる場合で、以下が代表例です:
- 腎臓の病気(糸球体障害など)
- 原発性アルドステロン症などホルモン異常
- 特定の薬剤の副作用
これらは適切な検査(血液・尿・ホルモン・画像など)で見つけることが可能です。
3. 放置しておくとどうなる?長期リスクは?
高血圧を放置すると、血管や臓器に慢性的な負担が蓄積されます:
- 心臓:左心房・左室の肥大、心不全のリスク増加
- 脳:脳卒中や認知症、記憶障害の進行
- 腎臓:腎機能の低下から腎不全へ
- 大動脈:大動脈瘤や動脈硬化が進行しやすい
また、最新のガイドラインでは、脳の健康や認知予防のためにも早期から血圧管理する意義が強調されています(www.heart.org)。
4. 池尻大橋せらクリニックでの高血圧評価・治療の流れ
(1) 正しい血圧測定
適切な測定方法にもとづいて、診療室測定+自宅血圧測定を併用。白衣高血圧や仮面高血圧の見逃しを防ぎます。
(2) 原因の評価
血液検査(腎機能、電解質、ホルモンなど)・尿検査・必要に応じて内臓脂肪の評価やホルモンスクリーニングを実施。
(3) リスク評価
2025年の新ガイドラインにもとづく「PREVENTリスク計算」ツールを用いて、10年・30年の心血管イベントリスクを推定(myjournalcourier.com)。個別のリスクに応じた治療方針を相談します。
(4) 治療方針の立案
- 生活習慣改善優先:減塩、運動、適正体重、禁煙、節酒など。
- 薬物治療開始のタイミング:生活改善でも血圧が下がらなければ、3〜6ヶ月後を目途に開始を検討。
- 使用する薬剤:原則は1剤スタート。必要であれば 単剤・配合錠の活用 でアドヒアランス向上。
(5) 定期フォロー
- 血圧や臓器評価のモニタリング
- 生活習慣の継続サポート(運動・栄養・睡眠)
- 合併症予防としての眼底検査なども可能な総合診療体制
まとめ
項目 | 内容 |
症状 | 基本的に無症状。「頭痛」「めまい」はあるが曖昧 |
原因 | 塩分過多・肥満・飲酒・遺伝など |
放置リスク | 心不全、脳卒中、腎不全、認知症など重大合併症 |
クリニックでの対応 | 正しい測定・原因評価・リスク推定・生活指導/薬物療法・経過観察 |
参考文献
- ACC/AHAほか. 2025 High Blood Pressure Guideline(JACC)
- AHA/ACC 2025 ガイドライン