はじめに
これまで「高血圧」「糖尿病」「脂肪肝(MASLD)」「運動療法」など、生活習慣病に関する基礎知識をシリーズでご紹介してきました。今回はそれらを総合的に補完し、池尻大橋せらクリニックが生活習慣病にどのように取り組んでいるかをご紹介します。
1. 総合的な検査体制で「見えないリスク」を発見
生活習慣病の怖さは、症状がないまま進行することです。そこで当院では、通常の血圧測定や血液検査に加えて、より深い循環器評価を導入しています。
- 眼底検査:網膜血管を直接観察し、動脈硬化や糖尿病性網膜症の兆候を早期に発見。
- ABI(足関節上腕血圧比):末梢動脈疾患(PAD)や全身の動脈硬化リスクを数値化。
- 頸動脈エコー:血管壁の厚さやプラークを測定し、脳梗塞リスクを評価。
- ホルター心電図:24時間の心電図を記録し、不整脈や血圧変動の影響をチェック。
これらを組み合わせることで、「まだ発症していないけれどリスクが高い段階」を見つけ、早期の介入を可能にします。
2. 糖尿病・MASLD・高血圧・脂質異常症・運動器疾患を横断的に診る
当院では、一つの病気を切り離すのではなく、関連する疾患を横断的に管理することを重視しています。
糖尿病
血糖コントロールと合併症予防を基本とし、眼底・腎・神経評価を定期的に実施。運動療法や食事改善を組み合わせ、薬物治療も含めて最適化します。
MASLD(代謝異常関連脂肪性肝疾患)
肥満・糖尿病・高血圧と密接に関わるため、肝機能・脂質代謝・血圧を一体的に管理。生活習慣病の基盤から改善する方針です。
高血圧
ガイドライン2025に沿った段階的治療を実践。眼底・ABI・頸動脈エコーを活用し、血圧の「数字」だけでなく血管の状態まで考慮して治療を進めます。
脂質異常症
LDLコレステロールや中性脂肪の管理は、動脈硬化予防に直結します。食事・運動療法をベースに、必要に応じてスタチンなどの薬物療法を組み合わせています。
運動器疾患
膝・腰の痛み、変形性関節症、スポーツ障害など、「運動したくてもできない」背景に対して整形外科的な視点からもサポート。痛みのコントロールとリハビリを行い、生活習慣病改善に必要な運動療法が続けられる状態づくりを大切にしています。
3. 運動療法とメディカルダイエットの実践
当院の特徴の一つは、「運動療法」や「メディカルダイエット」を医師主導で行っていることです。
- 有酸素運動と筋力トレーニングをバランスよく処方。
- 食習慣改善を「禁止」ではなく「置き換え」で実践可能に。
- 糖尿病・高血圧・脂質異常症・MASLDを横断的に改善するプランを設計。
4. 当院が目指すこと
池尻大橋せらクリニックが大切にしているのは、
- 数値だけでなく生活全体を改善すること
- 検査で「隠れリスク」を見つけて早期に介入すること
- 患者さんが現実的に続けられる方法を一緒に設計すること
です。生活習慣病は「一生付き合う病気」ではなく、改善できる病気です。
まとめ
- 当院は 検査(眼底・ABI・頸動脈エコー・ホルター心電図)+生活習慣指導+薬物治療を組み合わせた総合診療を実施。
- 糖尿病・MASLD・高血圧・脂質異常症・運動器疾患を横断的に管理し、合併症を未然に防ぐ。
- 運動療法やメディカルダイエットを医師主導で取り入れ、患者さんが無理なく続けられる生活習慣改善を支援。
参考文献
- 日本高血圧学会. 『高血圧治療ガイドライン2025』
- 日本糖尿病学会. 『糖尿病治療ガイド2024-2025』
- 日本動脈硬化学会. 『動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022』
- European Association for the Study of the Liver (EASL). MASLD Clinical Practice Guidelines 2023
- Cornelissen VA, Smart NA. Exercise training for blood pressure: a systematic review. J Am Heart Assoc. 2013
- Pedersen BK, Saltin B. Exercise as medicine – evidence for prescribing exercise as therapy in 26 different chronic diseases. Scand J Med Sci Sports. 2015
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2.治療と生活習慣の整え方
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5.当院の特徴・サポート体制
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