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脂肪肝の減らし方|3カ月で肝脂肪を落とす生活習慣とは?

はじめに:脂肪肝は誰にでも起こる“現代病”

脂肪肝(MASLD:Metabolic dysfunction-associated steatotic liver disease)は、食生活の乱れや運動不足、代謝異常によって誰でも発症し得る病気です。放置するとMASH(炎症性脂肪肝)や肝硬変・肝がんへ進行する可能性もあります。

しかし、初期の脂肪肝は生活習慣を見直すだけで、3カ月程度で大きく改善可能です。今回は医学的な根拠に基づいて、脂肪肝を効率よく減らすための具体的な方法を解説します。

1. 脂肪肝を減らすとは?|“体重減少”ではなく“肝脂肪減少”が目標

肝臓に脂肪が蓄積している状態が脂肪肝ですが、「痩せる=体重を落とす」こととは少し異なります。

  • 目標は肝臓にたまった脂肪を効率よく減らすこと。
  • そのためには筋肉量を維持または増加させながら、体脂肪を落とすアプローチが重要です。
  • 特に肝脂肪は体脂肪よりも早く減少しやすいため、正しい生活をすれば3カ月でも成果が見えます【1】。

2. 食事の見直し|ロカボ+たんぱく質で肝脂肪は確実に減る

🔹糖質制限(ロカボ)

  • 1日の糖質摂取量を130g以下に抑えると、肝脂肪の減少が期待できます(George et al., 2018)【2】。
  • 白米・パン・麺類・ジュースなどの精製糖質や液体糖質は、最も脂肪肝に悪い食品群です。

🔹たんぱく質の摂取強化

  • 1食20g×3回を目安に、肉・魚・卵・豆類・乳製品からたんぱく質を摂取しましょう。
  • 筋肉量を維持しながら脂肪を燃やす代謝が高まります。

🔹おすすめ食材

  • ブロッコリー、アスパラガス、枝豆(たんぱく+食物繊維)
  • グリーンバナナ(レジスタントスターチが腸内環境と肝機能を改善)【3】
  • 発酵食品(納豆・ヨーグルト・味噌)と食物繊維(きのこ・海藻)

※詳しくは→[脂肪肝の食事療法]をご覧ください。

3. 運動で燃やす|脂肪肝は“スクワット”で治せる?

運動習慣は脂肪肝の改善において最重要です。以下のように筋肉を刺激する運動が効果的とされています。

種類内容頻度
有酸素運動ウォーキング(1日30分)、ジョギング、バイクなど週5日以上
レジスタンス運動スクワット、腕立て、チューブトレーニングなど週3日以上
ミックス型有酸素+筋トレの複合が最も効果的【4】継続が大事

特に1日1分のスクワットでも筋肉刺激が入り、食後の血糖や脂肪の代謝をサポートします。

※詳しくは→[脂肪肝を運動で改善するには?]をご覧ください。

4. 水・果物の摂り方にもコツあり

  • 食膳に水をコップ1杯飲むことで血糖・脂質の吸収が緩やかになり、体脂肪の蓄積を防ぎます。
  • 果物はジュースではなく、丸ごと噛んで食べる形が理想。特にバナナは熟しすぎたものよりも未熟なグリーンバナナが◎(RS2が豊富)【3】。

※詳しくは→[バナナは食べていい?クリーンバナナが脂肪肝に与える影響とは?]をご覧ください。

5. サプリメント・医薬品の補助も選択肢に

日本では脂肪肝に対する保険適応薬は少ないですが、自由診療で使える医薬品やサプリメントも注目されています。

  • ビタミンE・オメガ3脂肪酸・シリマリン・ナイアシンなどは肝機能改善に効果が示唆されています(Sanyal et al., 2010)【5】。
  • ただし、サプリの過剰摂取や自己判断使用は逆効果となる場合もあるため、医師に相談を。

※詳しくは→[脂肪肝とサプリメント]をご覧ください。

6. 減らし方のコツ|“頑張りすぎない”ことが継続の秘訣

脂肪肝の改善には、短期的な我慢ではなく「生活の最適化」が必要です。

まずはできるところから始めてみましょう

  1. 毎日体重を測る(記録が行動変容の鍵)
  2. 甘い飲み物をやめる(ゼロカロリーでもNG)
  3. 野菜を両手で1日350g以上とる
  4. 食事の順序は野菜→たんぱく質→糖質
  5. 疲れない範囲で歩く・動く・筋肉を使う

まとめ:脂肪肝は3カ月で変えられる

脂肪肝は「命に関わる病気」ではないと誤解されがちですが、将来の肝がんや糖尿病リスクに直結する予備軍です。

しかし、逆に言えば生活習慣を変えれば誰でも改善できる病気でもあります。

  • 食事はロカボ+たんぱく質+腸活を基本に
  • 運動は継続できる無理のない強度で
  • 医師のサポートを受けながら、必要に応じてサプリや薬も活用

脂肪肝の減らし方を知ることは、人生の健康の軸をつくる第一歩。ぜひ今日から一歩ずつ始めてみましょう。

【参考文献】

  1. Stefan N, et al. Causes, consequences, and treatment of fatty liver. Nature Reviews Gastroenterology & Hepatology. 2020;17:144–152.
  2. George ES, et al. Practical dietary recommendations for NAFLD. Obesity Reviews. 2018;19(8):1164–1172.
  3. Ni Y, et al. Effect of resistant starch from green bananas on NAFLD. Clin Nutr. 2023;42(5):987–995.
  4. Oh S, et al. Resistance exercise improves hepatic steatosis in NAFLD. Liver Int. 2015;35(3):1255–1263.
  5. Sanyal AJ, et al. Pioglitazone, vitamin E, or placebo for NASH. NEJM. 2010;362:1675–1685.

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