― 夏の体調不良、その原因と対策を知っておきましょう ―
夏になると「風邪っぽいけど、冬と何か違う…」「食べたあとにお腹の調子が悪い…」そんな症状を訴える方が増えてきます。
この時期に多い体調不良の代表格が、夏風邪と食中毒です。
気温が高くなるこの季節、実は体の免疫力が落ちやすく、細菌やウイルスが繁殖しやすい環境が整っているのです。
この記事では、夏風邪と食中毒の特徴、予防法、なってしまったときの対処法をわかりやすくご紹介します。
■ 夏風邪とは?
冬の風邪はインフルエンザやコロナウイルスなどの「飛沫感染」が多いのに対し、夏風邪は主に「接触感染」や「経口感染」が多くなります。
また、エアコンの冷えや温度差、睡眠不足によって自律神経のバランスが崩れ、免疫力が落ちることで感染しやすくなります。
◆ 代表的な夏風邪のウイルス
- エンテロウイルス:咽頭炎や手足口病、ヘルパンギーナを引き起こします。子どもに多いですが、大人もかかることがあります。
- アデノウイルス:いわゆる「プール熱(咽頭結膜熱)」。喉の痛み、発熱、結膜炎が三大症状です。
◆ 夏風邪の症状
- のどの痛み
- 発熱(38〜40℃程度出ることも)
- 下痢、嘔吐、腹痛など消化器症状が多い
- 倦怠感、食欲不振
◆ 夏風邪の予防
- こまめな手洗い・うがい(特に外出後やトイレ後)
- 人混みを避ける、マスクの着用(流行状況によって)
睡眠・栄養・水分補給などで体調管理
■ 食中毒とは?
夏は食品が腐りやすく、細菌が増殖しやすいため、食中毒のリスクが一気に高まります。
◆ 主な原因菌
- サルモネラ菌:加熱不足の卵や鶏肉から感染。発熱・下痢・嘔吐が主症状。
- カンピロバクター:生焼けの鶏肉など。潜伏期間が2〜5日とやや長め。
- 腸炎ビブリオ:魚介類が原因。強い腹痛や下痢、時に発熱。
- 黄色ブドウ球菌:おにぎりなど手で握った食品に繁殖。毒素型で、加熱しても毒素は残ることがあります。
◆ 食中毒の症状
- 嘔吐、吐き気
- 下痢(水様性または血便)
- 腹痛(差し込むような痛み)
- 発熱、脱水症状
◆ 食中毒の予防 〜3原則〜
- 菌をつけない(清潔)
→ 手洗い・まな板や包丁の使い分け・清潔な調理環境 - 菌を増やさない(保存)
→ 冷蔵保存を徹底・作ったらすぐに食べる・常温放置はNG - 菌をやっつける(加熱)
→ 肉や魚介類は中心部までしっかり加熱(75℃以上で1分以上)
■ 夏風邪・食中毒になってしまったら
【夏風邪】
- ウイルス感染が多いため、特効薬はなく、対症療法が中心となります。
- 解熱剤・整腸剤・水分補給などで回復を待つことになります。
- 高熱が続く、咳が止まらない、呼吸が苦しいなどの症状がある場合は、早めの受診を。
【食中毒】
- 自己判断で市販の下痢止めを使うのは危険です。菌や毒素を体外に排出するため、むやみに止めるのは逆効果となることもあります。
- 吐き気や下痢がひどい場合は脱水症状に注意し、経口補水液(OS-1など)の活用を。
- 発熱や血便、意識低下がある場合はすぐに医療機関を受診してください。
■ 最後に
夏は、楽しいイベントやレジャーも多い季節。
しかし、体調を崩してしまっては台無しです。
「ちょっとした油断」が大きなトラブルにつながることもあります。
日頃の生活習慣を整えるとともに、感染症や食中毒に対する正しい知識と予防行動を身につけましょう。
池尻大橋せらクリニックでは、夏風邪や食中毒の診療はもちろん、脱水や体力低下に対するアフターケア、栄養指導、運動の再開相談まで幅広く対応しております。
気になる症状がある方は、お気軽にご相談ください。
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